電燈(でんとう)の効用
一、電燈の光は太陽と同じ性質(たち)のものにて總(すべ)ての物の色を正しく見せます
又熱を發(だ)したり焔(ほのほ)の揺らぎ等はありませぬから眼を疲らす事はありませぬ
二、電燈は他の燈火の如く油煙臭氣炭酸瓦斯(ぐわす)等を發しませぬ故殆んど掃除は要りませぬ
誠に清潔で衛生的であります
三、電燈は他の燈火に比べて最も安全で決して出火の原因(もと)となることはありませぬ
四、電燈は夕刻自然に點火(てんか)するものなれば「マツチ」等を使用する手數(てすう)を要せず
又熱に苦しむとか風に吹き消される等の憂いはありませぬ
五、電燈は常夜(月極)臨時又は従量(メートル(何れをお使ひになるも御得意様の御随意です
「電燈案内」の裏表紙に書かれている文章だが、電灯の普及し始めの説明文で、時代を表していて面白い。
”(メートル(”の閉じ括弧はミスプリだと思う。
メートルは電力計の事と思われる。
1ページ目から始まる電燈案内の最初は「電燈の種類」である。
電燈は左(さ)の種別に依り御需(おもとめ)に應(おう)じ可申候(まうしべくそうろ)
一、常夜燈(料金を月極として終夜點燈するもの)
二、臨時燈(常に器具を設備し置き又は臨時取附をなし祭禮買出臨時の御需に應じ或日數間
點火するもの)
三、従量燈(「メートル」を据附け電量の消費高に依り毎月の料金を定むるもの)
晝間燈(ちうかんとう)は現在晝間送電線の敷設してある場所に限り御需に應じ可申候
「晝間送電線」て、何だ? 夜しか送電しない電線があったのか?
※左(さ)の種別とあるのは縦書きになっているため
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