黒澤尻見聞古記 その41 材木拂下のこと

材木拂下のこと

 

一、覺右衛門事。寛永三年二月御分地紫野兄覺右衛門所より後家に入申候。同四月御蔵材木町かし兩所に御座候。瘤木町左右衛門□廣と相談仕、黒右衛門瀬川通御證文願上申候へば貮拾兩の御禮金にて御證文黒右衛門にも下置候。其材木番左右衛門に親類の由にて覺右衛門賴入日用にて番爲致候由、左右衛門申候。兩所に御座候材木下々望次地拂に仕度しと善右衛門様へ申上候へば、勝手次第と被仰出候故小道□の分地拂仕候。右材木残り申に付而他領へ出し申候。番人の御代わりに御舟奉行衆佐藤八郎右衛門殿、御改御通被成候。右之材木皆拂申候へば、少々利金候へ共遣金多く候故、漸々本金に取付候由に承候。右御證文は七月廿九日善右衛門様より黒右衛門參り申請候。